てん ―The pure story―
「ベティママ!!よくぞ聞いてくれました。あの馬鹿男、あたしをいつかここでひっぱたいた山本ユタカ、会社の営業車のガソリン抜いてクビ!まったく、辞めさせられた理由もセコイよねぇ」
「しのぶ、あいつにベッドでのこと言いふらされて、酷いセクハラだったんです。でも会社辞めないで頑張ったんだよねぇ」
しのぶの同僚が言った。
「まったく、一度酔っ払ってベッド共にしたくらいで、百万回も寝たようなこと言いやがって」
しのぶが憮然として言った。
「これに懲りて、簡単になびかないことねっ」
ママがたしなめた。
「だいじょうぶっ、あたしのこれからはてんちゃん一筋だからっ。てんちゃんまだぁ?」
「ごめんねぇ、今日はすばるがなかなか寝付かなくって」
奈央が片手を顔の前に立てて謝った。
そのとき、ばーんとドアが開いて、男が飛び込んできた。今話題にしていたユタカだった。