てん ―The pure story―



「おばちゃん、こんにちは。てんちゃんは?」



ケンとかおりを連れて〔てがる〕に行くと、奈央は外にいたおばちゃんにそう言った。




タコ焼きはおじさんがしていた。もうだいぶよくなって、身体がナマるからとたまにカウンターに立っていた。




「あれぇ、さっき奈央ちゃんの店の友達とかいう太った人がきて、連れてっちゃったよ。てんちゃんは、奈央ちゃんが待ってるからとか言われて喜んでついてった。すばるちゃんなら奥でテレビ見てるけど」



おじさんが店から出てきてそう言った。




「ユタカって男だわ!おじさん、てんちゃんどこ連れて行かれたかわからない?」




「ああ、埠頭に行くとか言ってたな。ベイブリッジのパーキングでみんな待ってる、とかも言ってた」




「おじさんごめんなさい、もう少しすばるを預かってください!ケン車だして!!」




「よし、わかった!」















「なにが、あったの?」




かおりが訳が分からないという顔をして、奈央は車で話すわと言った。
< 169 / 200 >

この作品をシェア

pagetop