てん ―The pure story―
埠頭で、用意されたバイクの脇にしゃがみこんで、タカシは震えながら怖い怖いと泣き出した。
「ヘッド、どうしたんですか!さぁ、崖っぷちギリギリのターンやウィリーやってみせて下さいよ!」
ユタカがタカシの腕を引っ張ると、タカシはなおさらしゃくりあげた。
「もう、よせよ!・・・やっぱりな。おめえがどこのグループにも入れてもらえないんで、色々と姑息なことたくらんでるってバイカーの間じゃ評判だぜ。五年前レイダースが解散したのも、元はと言えばおめえの責任だったそうじゃねえか。俺がイダテンならおめえを京浜エリアから締め出してるとこだ。もっともイダテンが許しても、それ以外の全てのバイカーがおめえなんか相手にしねーよ」