てん ―The pure story―



ずるずると引きずられる奈央の耳に、助け舟の声が入った。



「すんません、待って下さい。その子は俺の妹です」



奈央の顔がぱっと輝いた。



――きっとあの人だ!!――



彼女は確信した。




奈央が振り向くと、期待していたのとは別の笑顔がそこにあった。

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