てん ―The pure story―
10分後、バイクの音がして、カンカンと外階段を勢いよく駆け上がってくるヒールの音が響いた。
「あれ、いないのかな?暗いし、コンビニでも行ったかなぁ」
中岡と奈央は外から見えもしないのに、かくれんぼする子供のように寄り添って小さくかがんでいた。
かおりが携帯をプッシュする音が聞こえた。
二人の前の電話が鳴る。
二人は録音ランプをじっと見つめていた。
「留守録聞いてないみたいね。いいかげんケータイ持ちなよ(笑)じゃ帰りしだい連絡してね。すぐ迎えにくるから」
かおりが諦めて鉄階段を降りていく音が聞こえた。