てん ―The pure story―
「俺はこいつが許せねえんだ。頼む、勝負させてくれよ」
納得することができないやすしがイダテンに哀願した。
「どうなんだユタカ、受けてたつのか?」
「冗談じゃないっスよ。ただのジョークじゃないっスか。フツーこのていどじゃキレないっスよ。コイツ酔っ払って自分のこと逆恨みしてるんじゃないっスか」
「こう言ってるけど。ダメか?」
イダテンの言葉にやすしは首を横に振った。
ケンもやすしを説得したが無駄だった。
「仕方がない。お前はこの人を怒らせたんだ。事情はどうあれレースをしろ」
「いやですよ!何で俺が・・・そうだヘッド、ヘッドが俺の変わりに走ってくださいよぉ」
ゆたかが媚びるように揉み手をした。
イダテンは一瞬考えて、それでもいいかとやすしに尋ねた。
やすしはゆたか以外はダメだと言い張った。