てん ―The pure story―



「なに馬鹿をいってんだ!!お前は酔っ払っているんだぞ!」



ケンがとめた。そしてやすしの肩を押さえてイダテンに言った。



「そっちが代わりなら、こちらも俺が代わっていいか?」



「俺は、誰が相手でも問題はない」



イダテンが落ち着いた声で言った。



「冗談じゃないぜ!俺はそこの腰抜けとは違うんだ。誰も手を出すな!」



やすしが炎のエンブレムの走った愛車に飛び乗ると、イグニッションをひねり、スロットルを全開にした。



バックファイアーがマフラーを突き抜けた。



「ダメだぜもう。こうなったらダン差をつけて諦めさせるよ」



イダテンがケンに言った。



「たのむ、恩にきる!」



ケンは敬意をこめて言った。
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