てん ―The pure story―
「しまった!」
イダテンが叫んだ。
エンジンをかけるところだったイダテンを無視して、やすしは疾走した。
「なんだぁアイツ、ズルしねぇと勝てねーと思ったな!」
ゆたかがいやらしく笑った。
イダテンは全速でやすしを追った。
その差はみるみる縮まっていった。
「スピードを落とせっ!海に落ちるぞっ!」
やすしはイダテンの忠告を無視し、アクセルハンドルをクイと回した。スピードメーターが振り切った。