てん ―The pure story―



イダテンが再度追いついた。



海は目の前だった。



イダテンはやすしを思い切り蹴り飛ばした。



酔っ払っていたやすしは下手に抵抗しなかったため、柔道の受身のようにどさりと地面に落ちて助かった。だが、炎をかたどったやすしのバイクのカウリングが、イダテンのバイクを抱き込んだ。



バランスを崩して振り落とされた、ヘルメットを被っていないイダテンの頭部は地面に叩きつけられ、ぐしゃっという音と共に血の海を広げていった。
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