てん ―The pure story―



「けだものっ!もしそこから一歩でも近づいたら・・・」



「近づいたら、どうしようってんだ。えっ!」



原田のドスをきかせた声に、奈央はビクッとして目を閉じた。




次の瞬間奈央はソファにねじ伏せられていた。



原田の手が奈央の口を塞ぎ、もう一方の手が制服のスカートに滑り込んだ。



「いや・・・たすけ・・て」



奈央は指の隙間から声を絞った。



「無駄だって。屋敷は広れーし、風呂場は遠い。おまけにバスタブを洗う水の音で、悲鳴だって聞こえやしねーよ」



原田はそう言ってベルトを外しにかかった。




「たまんねーなぁ、ピチピチじゃねえか」



原田のうつろな目に、奈央は金縛りにあったように力が入らず声もでなかった。



――宗、助けて!宗!宗っ!――



奈央は声にならない悲鳴を上げ続けた。




< 66 / 200 >

この作品をシェア

pagetop