てん ―The pure story―
「けだものっ!もしそこから一歩でも近づいたら・・・」
「近づいたら、どうしようってんだ。えっ!」
原田のドスをきかせた声に、奈央はビクッとして目を閉じた。
次の瞬間奈央はソファにねじ伏せられていた。
原田の手が奈央の口を塞ぎ、もう一方の手が制服のスカートに滑り込んだ。
「いや・・・たすけ・・て」
奈央は指の隙間から声を絞った。
「無駄だって。屋敷は広れーし、風呂場は遠い。おまけにバスタブを洗う水の音で、悲鳴だって聞こえやしねーよ」
原田はそう言ってベルトを外しにかかった。
「たまんねーなぁ、ピチピチじゃねえか」
原田のうつろな目に、奈央は金縛りにあったように力が入らず声もでなかった。
――宗、助けて!宗!宗っ!――
奈央は声にならない悲鳴を上げ続けた。