アネモネの花束を君に
―――小さい頃から、桜は明るく元気で活発な女の子だった。
―そう
あの日までは――――
「明日はさくの誕生日ですね。何が欲しいんですか?」
楽しそうに俺の手を握り、笑うさくに聞いてみた。
「おえ描きセット〜!!それでね、それでね。さくの誕生日にうーんとねー、おっきいケーキをね、家のみんなで食べるの〜」
「…………へええ。おえ描きセットで何をするんですか」
さくは無欲だ。自分が財閥のお嬢様だと認識をしているが、俺達の母もあまり高いものに興味を寄せなかったせいなのか、あまり高いものを欲しがらなかった。
「ふふ、ふ〜んふふ、ふ〜ん」
楽しげに俺とつないだ手を握りながら、歩いていた。
――そんなとき俺はこれから起こる不幸に何一つ知るよしもなかった―――