アネモネの花束を君に


ガラガラ

――パタン


シーンとした誰もいない病室。そして、私は一人でベッドの上に座っていた。



れーくん、言えなくてゴメンね。
本当にゴメン。

でもね…あんな顔されちゃ喋れないじゃん…

あ〜あ…涙がでてきちゃった。

私は体操座りをして息を殺し泣いた。


すると、誰かに抱きしめられていた―――

「さく、我慢するな泣きたいときは声を出して泣け!」

「…や…尋…にぃ……様……。」


「ふぇっくふぇっく

れーくんの馬鹿
れーくんの鈍感
れーくんのー

うわぁーん
うわぁーん 」


私はこの日久しぶりに泣いた。
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