光のワルツ
あと半日
「きゃーーーー!!遊園地ーーーーっっ!!!」
「そだね、遊園地だね」
「ほらチケット出してっ!早く早くっっ」
「あのさ…走らなくても遊園地は逃げないから…」
「なに言ってんの、蓮人くん。遊園地だよ?ここで走らないと遊園地に来たことにはならないよっ!むしろここで走らないで遊園地を楽しもうなんて考えは邪道っ!遊園地の本質的な役割は何?夢への入口だよ?夢へ向かって走らなくて何が遊園地なの!」
「なにそれ?!そんなの誰が決めっ…うぅわ!!」
「走るよ蓮人くん!夢に向かって!!」
「たのむから他人を巻き込むなよっっ…ゲホッ!!」
首元を力任せに引っ張られ、結局無理矢理走らされるはめになってしまった。
昨日、突如思い付いた遊園地は、俺が思ったより好評なようだ。
どうせ明日には出て行ってしまうのだから、少しくらい楽しい思い出をつくっておきたかった。
「ねぇ、どれ乗る?」
「……ジェットコースター、バイキング、フリーフォール」
「ぅげっ!蓮人くん…最初からそれはきつくない?」
「…怖い?」
「いや…私は平気だけど…じゃぁ…あの軽めなジェットコースターにしよっか?」
「いいんじゃん?」
お互いこの時は本当に大丈夫だと思ってたと思う。
軽い気持ちで乗った…はずだった。