光のワルツ


とりあえず目の前のベンチに座る。
だが俺も里美も深く座らず、浅く座って体は少し前傾姿勢だった。


「………次何乗る?」

「………軽いの…」

「…何?」

「………じゃメリーゴーランド。」

「……わかった…」


次が決まってるのに2人とも立たない。
いや…立てない。
ボーっとしながら里美のことを考えた。
普通、女って言ったら「怖いよ~」とか、乗った後は泣いてるとか…そんなのいっぱいなのに…………里美は泣いてない。
なかなか根性が据わってるって言うか…なんか周りと違う。


「里美って彼氏いんの?」

「何、突然っ!」

「急に気になって…」

「………いたんだけど……別れちゃったんだよねぇ…」

「別れた?なんで…」

「なんでだろ…私が悪かったのは確かかな。って…なんかこの話し暗い!」

「あっごめん…じゃぁ…里美ってどこ高校?」

「えっ?」

「……またNGワード?じゃぁ…」

「いやっ!大丈夫だよっっ・・・市の・・高校!ここから結構遠いんだよね…」

「確かに遠いね…つか頭悪いんだ?」

「…怒るよ」

「それは勘弁…」

「じゃ次は私の質問…蓮人くん彼女は?」

「…いない…かな。昔も今も…たぶん」

「たぶん?!」

「うん、なんかあった気もしなくはないけど…確か誰かのことがすごく好きで………だから誰に告白されても断ってた」

「…蓮人くんって…一途なんだね…」

「普通だよ…つか里美って俺のこと君付けしてんの?なんか恥ずかしいからやめてくれると嬉しいんだけど……」

「……なんて呼ぶの?」

「なんでも良いから堅苦しいのはやだな…」

「…じゃ蓮くん。」

「えっ?………」


蓮くん……どっかで聞いたような……
どっかで…聞いたはず…


「……やだ?」

「…いいよ。蓮くんで…ちょっと恥ずかしいけど……」

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