光のワルツ

あと1時間



楽しい時間は本当にすぐ過ぎる。
そろそろ最後の乗り物を決めなくちゃいけない時間になってしまった。

遊園地のラスト…と言えば観覧車
というのが里美のポリシー(?)らしく…観覧車に乗る。
カップルやらが沢山いたせいで20分ならんだ。
まぁ早い方ではある。
たぶん今からならんだら、1時間は待たされる。


「…結構、高いね…」

「観覧車なんだから当たり前だろ?…つか、怖いの?」

「…昔は全然大丈夫だったんだけど…ある事があってから、高いところは避けてたんだよねぇ…」

「?ある事?」

「……自殺しようとしたんだ…学校の屋上から…」

「えっ…」

「病気で、すぐに死んじゃう事がわかったの。んで…毎日毎日、屋上に行っては真下見下ろしてた…」

「…………」

「ある日ね…本当に死のうと思って、フェンス超えたんだ…そしたらある人が…私を止めてくれたの…」

「あ……えっ……?」

「痛かったんだよ?フェンスごと後ろから抱きしめられたせいで、フェンスに背中食い込むし……でも…スッゴく嬉しかったんだぁ」

「………」

「あんたの事言ってんだよ?蓮人…」

「…………美……美里依…」

「私のこと忘れやがって…このドあほっ!…………こっちは…死ぬほど会いたくて…心配したっつーのにぃ…」


目の前にいた里美は…いつの間にか美里依だった。
いや、最初から美里依だったんだ…俺が気付かなかっただけで…


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