光のワルツ
あと5分…
本当に…時間が止まればいいのに……
「………私が最後に話した言葉…聞こえてた?」
「…聞こえなかった…」
「あちゃー……頑張ったのにぃ……あの時ね…ありがとう、大好きって…頑張って言ったんだよ?」
「…………」
「黙んないでよ…時間が少ししかないんだから……」
「…………ありがとうなんて…俺の台詞だよ………美里依がいただけで…俺は幸せだったんだから……」
「………嬉しい…………たまにでいいから、私のこと思い出してねっ…でも毎日毎日泣いちゃだめ…たまに思い出して、笑ってね!あと…絶対に幸せなって!働いて、そのうち結婚して…子供つくって…んで長生きすること!…あとはぁ…」
「………俺もお願いしていい?」
「いいよっ」
「…俺は美里依みたいに優しくないから…美里依は毎日毎日、ずーっと俺のこと考えて、笑うこと………」
「なんか、もうちょっとカッコイイこと頼んでよ…」
「…あと…俺が死んだら、迎えは必ず来ること……んで一緒に来世に行って…今度はずっと…一緒にいよう…」
「………うん、約束ねっ」
「……破ったら俺が幽霊になって現れるから、」
「それ幽霊に言う?」
「アハハ…」
「アハハハハ……………蓮人…キスしながら…逝ってもいいかな?ドラマみたいに…あれ本当に幸せそうなんだよねぇ…」
「ぷっ……美里依らしい……………こっち向いて?」
「…はいっ」
「………目を閉じてもらわないとやりずらいんだけど…」
「ヤだよ、蓮人の顔見てたいんだからっ」
「…ったく…最後までわがままだなぁ…ほら、」
美里依を引き寄せてキスをしながら抱きしめる。
かなり強く抱きしめているのに………だんだん美里依の体が薄れていく。
自然に涙が出てきて、それが美里依に見られると思って目を開けたら、美里依は本当に薄れていて…
目を開けとくとか言ってたくせに、閉じてる目からは涙が流れてて…
もう一度、ギュッと力を入れた瞬間、美里依が笑って……消えた。
「……アハハ…私…幸せ者~…」
青白い光が飛び散るなかで…そんな脳天気な声が聞こえた。