光のワルツ

あと1日と半分



それから30分間…
俺は風呂に入ってたため、この部屋に何が起きたのか知らない。


床は綺麗にゴミ一つない。
落ちてた写真や置物も元通り。場所も間違ってない。


「あぁ、綺麗になったでしょ?喧嘩でもしたようになってましたもんね…昨日の夜にお父様方が家出たばっかなのに…」

「……んで…」

「え?」



「なんで…置物の位置とか知ってんの?」



一瞬、目の前にいる女はびっくりした表情を浮かべたような気がした。
だけどすぐに表情が消えて…

悲しそうな顔で笑った。



「………知り合いだから、ここに昔2回くらい来て…お茶をいただきました。
そのときに可愛い置物とか、蓮人くんの写真見たりして…
なんとなく…覚えてた、それだけです」

「……そっか…」

「………蓮人くんはなんで、こんなに部屋を汚くしたの?
普通…クッションが破けるなんてありえなくない?」



「………覚えてない。昨日……何があったっけ…」


本当に何も思い出せない。


「…なんも思い出せないんだ。昨日のこと…気付いたら制服のまま寝てて、泣いてたっぽいし……この部屋だって、なにも思い出せない…」

「………」

「…信じられないでしょ?」

「……うん、まあ。」

「はっ?そこは少しくらい慰めないの?」

「だって私はそんなこと体験したことないもん!
でも信じるよ、蓮人くんが言うから……だからさ…とりあえずご飯食べよっ?」


変な女…すぎる。
でも今の俺にはすごく暖かくて、安心した。


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