光のワルツ


思考が止まった。
というより時間が止まった。
聞き間違えにしてはリアル過ぎる。
夢にしてもリアル過ぎる。
試されてるのか?
それともおちょくられてる?


「……ダメ…なの?」


どちらにしても…


「…そういうの、ダメじゃないかな?」


答えはNoだ。
なんとなく、恋人みたいなことを里美とするのはダメだと思う。
いや…俺がダメだ。
そういうのをしたかった人がいた気がして…
ただ気がするだけだけど…なんか突っ掛かる。


「里美が嫌とか、そういうのじゃなくて…ちゃんと、一線は置いときたいんだ……


………って…えっ?」


ただ距離は置くべきだと言っただけなのに…
なぜか、里美は泣いていた。


「えっ?」


本人も気付いてないみたいだ。


「涙っ涙!なんで泣いてんの?!別に一線置きたいってのは悪い意味じゃなくて…その、恋人じゃないのに同じ部屋で寝ることにためらいがあるだけで~…だから…」

「ごめっ…私…大丈夫だから…ごめん…無神経だった……なんも考えないで………ごめん…一人になるのが怖かったの……それだけだから…大丈夫。ごめんね…」

「…………」

「えっ?なんで布団片付けてるの?」

「…一人が怖いんでしょ?わかったよ。俺の部屋で寝ていいから……」

「えっ?大丈夫だよっ…」

「いいからっ!…泣かせて、ごめん…」

「………ごめんね…」


負けた。
泣かれたら、なんとかしてあげたくなる。
少なくとも俺はなんとかしてあげたくなった。

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