白い気球の赤いベル
みんな気付かないうちに桃太郎や、それに御供する犬や猿や鳥になってしまっている。

――そんな世間は怖い。いや、寂しい。

この思いを詰め込んで、私は「五」の前に着いた。そして顔見知りの同級生の姿に近づき、私は挨拶をした。その瞬間、私は詰めた思いを潔く捨て一匹狼になりたい、と思った。

教室にも鮮やかな色とは遠すぎるくらいの、暗い紺色だらけ。みんな偽りだらけ。

そうか、此処はテレビに映る地方都市だ。
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