白い気球の赤いベル
第二章「四畳半の生活」
私の部屋と呼ばれる四畳半と大きな硝子一枚で、向こう側に続く煤けた肌色の枠のベランダ。

白色が水色を隠す地球の天気とは逆に、空色が白色を隠す目の前景色。空色だけがフレームの端に寄せられている。

ひんやりとした床にデニムの尻ポケットを付け、座りながら外の世界を眺めていると、私は今にも昼寝してしまいそうになった。今日は綺麗すぎるくらいの地球の天気だから、蛍光灯なんて点けなくても充分に手元まで明るい。

白のレースのカーテンの間からは、小さいけれど強い光が部屋に差し込み、生温い心地がした。いや、尻だけが扇風機の風に晒(さら)されていると言った方が正しいだろう。うん、とも角そういう心地がする。

何だか歩きすぎて足の親指の中に出来てしまった血豆を気にして、靴下を脱げない人みたいな日々だ。月日が経過し血豆が爪の白い所まで来てくれる日を、私も誰にも見せずに一人で待っている。それが明日ではない事くらい解っているのに、何故か毎日靴下をこっそり剥いで血豆の様子を見てしまうのだ。
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