リングは彼女に
第1章

プロポーズ~回想



 ふざけるな。


 心の中で、そう呟いた。この目の前にいる女が、俺を不愉快にさせた張本人だった。ただ、ふざけるなと思ったのだ。


 いつもそうだった。俺はなにかと裏切られる。

 友人に貸した金は返ってきたことはないし、会社にはクビにされる。都合のよい道具のように、利用され、気に入らなくなった途端に捨てられてきた。


今まで付き合ってきた女にも、同じように裏切られてきた。なぜだか分からないが、ことごとく振られまくってきたのだ。

 それはもう、おもしろいくらいに。

 相手から付き合いを言い寄られた場合でも、必ず振られるのは俺だった。中には、突然連絡が取れなくなった女もいる。冗談じゃない。

 そんな理不尽なことが起こる度に、とことん運のない自分を呪ってきた。
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