リングは彼女に


 意味も無く街を徘徊した日もある。

 当てもなく歩き回るのだが、理那が気になる店を見つけた時は、中に入って買い物をする。


 服やインテリアやフィギュアやいるのかいらないのか分からないものまで、沢山のものを買った。


 財布は言うまでも無く俺持ちで、彼女はアルバイトを始めたら返してくれるとか言っている。


 正直言うと、本当に返してもらえるかどうかは、全くの不明だ。アルバイト雑誌を見ている様子もないし……



 そして今日はビリヤードに来た。ナインボールをプレイしているのだが、またもハンデとして、無茶苦茶なルールでプレイしている。


「ああ、また外れちゃった! じゃあ、こっちから打てば大丈夫かな?」

 理那はボールを手で掴んで、3番の赤いボールの手前に置いた。白球と、3番の直線上にポケットがある。


 いくらなんでも、二回連続で球を打てるってのは、ハンデが大きすぎやしないか? そう心の中で思った。
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