リングは彼女に
同窓会
十二月二十三日。
同窓会の時刻の十五分程前に、同窓会の開かれる居酒屋の前についた。既に十人くらいは集まっている。
「お、成瀬くんじゃないですか。一年振りですね」幹事の長谷川が軽く会釈した。
赤縁のプラスチック眼鏡をかけ、目は切れ長、眉毛もしっかりと整えられている。彼は昔から勉強も出来て、スポーツも上手いから手に負えない。
女にもよくモテていた。それにしても、相変わらず喋り方が特徴的だ。
「おう、久しぶり……ていうか長谷川、その腕どうしたんだ?」俺は長谷川の右腕に包帯が巻かれている事に気が付いた。包帯は真新しく、痛々しい。
「あ、これですか。えーと……ですね……お恥ずかしい事に駅の階段で転びましてね。腕を段差の角にぶつけてしまって折れてしまったんです。医者の話だと綺麗に折れているから、くっ付いたらより頑丈になるだろうという事らしく。まあ、心配なさらずとも、僕は大丈夫ですので」