リングは彼女に


 それは相当痛かったのだろうな。

 だが、階段から転げ落ちる長谷川の姿を想像すると、あまりに間抜けで思わず吹き出しそうになってしまった。俺ってひどい奴だ。


「そうだったのか、お大事に。俺は肩を壊したことはあるけど、骨折したこと無いから、どれだけ痛いのか分からないけど……」

 俺がそう言うと「相当痛いですよ」と、長谷川は腕を折った感想を簡単に言った。


 時刻が進むにつれて、少しづつ人が増え始める。


「皆さん! まだ全員集まったわけではないですけど。時間までには集まると思います! もう少しこのままで待機していましょう!」


 長谷川は腕時計を確認しながら声を張り上げて言った。
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