リングは彼女に
しばらく走っていると、商店街に入った。
夕食の食材を買ったのか、白いビニール袋を持った中年女性が目に付く。両手に持った袋からは、野菜がいくつか頭を出している。
ゲームセンターの前を通り過ぎる時、田渕が呟いた。
「でもよ、俺、告白とかしたことないから、どうすればいいのかよく分からないんだ。成瀬はどうしたらいいと思う?」
俺は少々考えてから答えた。
「そうだな……俺だったら、面と向かって言うのはやっぱり無理だと思う。電話か何かで告白するのはどうだ? それでもかなり勇気がいると思うけど」
「そうだよなぁ」
田渕は大きなため息をした。