リングは彼女に


 しばらく走っていると、商店街に入った。

 夕食の食材を買ったのか、白いビニール袋を持った中年女性が目に付く。両手に持った袋からは、野菜がいくつか頭を出している。

 ゲームセンターの前を通り過ぎる時、田渕が呟いた。

「でもよ、俺、告白とかしたことないから、どうすればいいのかよく分からないんだ。成瀬はどうしたらいいと思う?」


 俺は少々考えてから答えた。


「そうだな……俺だったら、面と向かって言うのはやっぱり無理だと思う。電話か何かで告白するのはどうだ? それでもかなり勇気がいると思うけど」


「そうだよなぁ」

 田渕は大きなため息をした。
< 130 / 228 >

この作品をシェア

pagetop