リングは彼女に


「でも、電話とかで告白されるのって、どうなんだろう。やっぱり女ってのは、直接言ってもらった方がいいのかな。心に響くのかな」


「どうだろう。俺は女じゃないから分からないな」


 それからしばらく沈黙が続いた。交差点の信号待ちをしている時に、また田渕が口を開いた。


「急で悪いけど、お前に協力して欲しい」その表情は、真剣そのものだった。

「さっきから色々考えたんだけど、いい事思いついた。協力してくれないか?」

「協力? あまり面倒な事は御免だけど……」

「面倒な事じゃない。凄く簡単なことだ。頼む」


 田渕は両手を合わせ、俺に懇願した。
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