リングは彼女に


「そうだ! 長谷川。千秋さんとはどうだ? 仲良くやってるのか? 最近付き合い始めたばかりだろ、心配してるんだよ俺たち」別に聞きたくも無いことだが、話題を変えるためには仕方が無かった。


「え? ああ、あの人とは別れましたよ」長谷川はそんな事どうでも良いという風に答えた。


「ええ? なんでだよ?」俺は驚いて聞き返してしまった。


 話題を逸らす為に聞いたのだが、まさか別れたとは思わなかった。


「正直言って、わがままな女の人は嫌いなんですよ。まあ、新しい彼女も出来ましたし、もういいんです。向井さんの事は忘れました。それにしても、なんでそんな事聞くんですか? 人の恋愛沙汰なんて聞いても楽しくないでしょう?」



 長谷川はさも不思議そうに俺と田渕の顔を交互に見つめる。
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