リングは彼女に
第6章

Message



「ただいま」


 家に帰ると、理那がテーブルの上にA4サイズくらいの紙を広げて、筆ペンでなにやら書いている様であった。


「おかえり! 何かお土産はないの?」彼女は筆ペンを放さずに言った。とくになにか買ってきたという事はなかった。


「いや、特に何もないけど」そう言うと、「そう、分かった」とだけ答えて、再び紙に筆ペンを走らせている。


「理那、何を書いているんだい?」少し気になったので聞いてみた。


「これ? これはね……簡単に言うと詩かな」

「詩? へぇ、詩なんか書くんだ? ちょっと見せてよ」

「うん。いいよ」


 彼女は、束になって重ねられている中から、一枚の紙を取り出して見せてくれた。
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