リングは彼女に


「なになに……『あなたは本当に幸せですか?』これだけ?」

「うん。一文で訴えかけるって感じかな。他にはね……」もう一枚の紙を手渡された。

「えーと『メリークリスマス。今夜はこれからどこに行くの?』……うーん。これは詩って言うのかな?」

「そうね、厳密に言えば、詩ではないかもしれない。だけどいいの、必要なものだから」


 テーブルの上の紙束は既にかなりの厚さになっていた。


「これで詩集でも作るの?」何気なく聞いてみる。

「え? 詩集なんて作らないよ。やだなあ和人くん」

「そうか。いや、ちょっと気になったからさ」

「ううん、気にしなくてもいいよ。毎年クリスマス前になると、こうやって紙に色々と書くのが習慣になってるの……大体こんなもんかな?」


 理那は大きな封筒を取り出して、それらの詩を書いた紙を丁寧に入れた。
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