リングは彼女に
「確かに、理那の言う通りかもしれないね、でも、クリスマスや、クリスマス・イブがある事によって、みんな自分たちの幸せを感じられるんだ。プレゼントを貰う事によって、外食をする事によって、恋人と一緒に過ごすことによって、みんな幸せだと思える日なんだと思う。それでいいじゃないか。恋人同士は恋人同士の、家族がいる人は家族の、それぞれの愛を確かめ合っているんだよ。そう、重要なのは愛なんじゃないかな?」
俺は自分の考えを説明したが、理那は納得出来ないといった様子だった。
「和人くん。和人くんの言い方だと、クリスマスはみんな幸せに過ごせる日ってことだよね」
「ああ、そうだ」
「でも、そうじゃない人も、いるかもしれないじゃない。それに、簡単に言うけど、愛ってなんなの?」
「……愛っていうのは、人それぞれの形があるから、一概には言い切れない。でも、愛が無ければ困る。人を好きになる事すら出来ない」そこまで話したとき、理那が俺の言葉を遮った。
「私は、愛というものがよく分からない。愛っていうものは、どう感じたときが愛なのか、愛ではないのか……それが分からない。みんなは愛がどうだこうだ言うけど、本当に愛を感じている時なんてあるの?」
「……」正直、俺にもよく分からない。