リングは彼女に


「ところで、同窓会はどうだった? 楽しかった?」

「ああ、そうだな……楽しいかどうかと聞かれたら、普通かな。今日は仲間が一人減っちゃってね、高校時代の親友が結婚しちゃって……俺は一人で落胆してたよ。いや、結婚自体はめでたい事だし、嬉しかったんだけど」


「そう、独身は和人くん一人だけになっちゃったの?」


 俺は右手を大きく振って否定した。「まさか! まだもう一人いるよ。俺ともう一人……まぁそれでも、うちのクラスでは残り二人って事になるな」


「あはは、そうなんだ。じゃあ私と結婚する?」理那が笑顔を見せる。


「え?」驚いて体が固まってしまった。


 目が泳いでしまう。「まさか。冗談言わないでくれよ」


「冗談に決まってるじゃん。馬鹿だねー」

 なんだ、冗談だよな……それにしてもこの高鳴りはなんだろう。

「はあ、驚かさないでくれ、ほんとに」俺はぎこちなく笑って、ベッドに横になった。


「うん、冗談……冗談だよ」その時ふと見せた理那の表情はどこかしら悲しみを浮かべていた。
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