リングは彼女に


 とあるデパートの店内に入った。


 店内は赤と緑のキラキラした飾り付けがそこら中に施されている。


 明日のクリスマスが終わったら取り外されるのだろうが、取り外すのにも相当な労力を必要としそうだ。


 周りには大きな買い物袋を持った親子や、ペアルックをして歩いているカップル。老若男女問わず、店内は沢山の人々でごった返している。


 俺は人や物にぶつからない様に注意しながら歩き、ひとまず、アクセサリーを売っている店へと向かった。

 入り口から入ってすぐの所にあるので、迷うことなく、すぐに到着した。


 ショーケースの中には様々な貴金属が並んでいるが、やはり値段も高い。それに、それらを眺めていると、またも苦い記憶が蘇り、気分が悪くなった。



――アクセサリーはやめておこう。



 浮かび上がる記憶から逃れるように、すぐにその場を離れた。アクセサリーなんかより、他に良いものがあるはずだ。


 俺はおもちゃか人形をプレゼントしようと思い直し、エレベーター付近にある案内板を眺めた。場所を確認した後、三階のおもちゃ売り場へと向かうことにした。
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