リングは彼女に

「なにかプレゼントをお探しですか?」


 すごろく盤やモノポリーが置いてある棚を眺めている時に、背後から声を掛けられた。

 振り返ると、黄色の太字でキッズアイランドと書かれたエプロンを掛けている女性が立っていた。髪の短いボーイッシュな女性だ。どうやらこの店の店員らしい。


「ええ、まあ。何にしようか迷っていまして……」すかさずそう答える。


「左様ですか、それでしたら私がお客様と一緒にプレゼントをお選び致しましょうか」彼女は笑顔でハキハキと答える。とても印象の良い女性だ。


 確かに一人で当ても無くプレゼントを探し回るより、彼女と一緒にプレゼントを探すほうが効率的に思えた。それに、女性として、どういうプレゼントがいいか、意見も聞ける。


「本当ですか? 是非お願いします」俺は軽く頭を下げた。

「かしこまりました。お客様、プレゼントはどなたに?」


「女性にプレゼントを探していまして……そうですね、恋人にあげるプレゼントです」



 俺はその時に初めて理那に対して『恋人』という表現を使った。
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