リングは彼女に
「それって、鼻眼鏡じゃないですか」店員が見せてくれた商品は、よく昔のバラエティ番組なんかで登場する機会の多かった、黒縁眼鏡にプラスチックの大きな鼻がくっ付いているものだった。
「それをあげるんですか?」まさかとは思ったが、一応聞いてみる。
「いえいえ、これはお客様がつけまして、それでこちらを恋人さんに渡すんですよ」
店員は棚の下の方からオルゴールの箱の様なものを取り出した。それにしても、ちょっと大きいのが気になる。
「オルゴールですか? 確かにちょっとクリスマスっぽい気はしますね」店員からオルゴール箱を受け取りまじまじと眺めた。
「そうです。ロマンチックですよ! 早速開けてみてください」ニコニコしながら店員は言った。
どんなメロディーなんだろう……ちょっとワクワクしながらフタを開けた。