リングは彼女に
第7章

暗がりの家



 午後七時頃、自宅に到着した。いつものように玄関のドアを開けてから「ただいま」と軽く言った。しかし、なにやら普段とは様子が違う。


「理那?」


 家の中が暗い。電気が点いていない。


 理那が住み着くようになってからは、玄関のドアを開けると、必ず明かりが点いていて、料理の匂いが鼻をくすぐるのだが、今日はそれがない。


 寝てるのかな?


 家の中に入り、電気を点ける。そしてベッドを確認するが、そこにも理那の姿は無かった。どこかに出掛けたのだろうか。


 そうだ。メールを入れてみよう。


 携帯を取り出して、理那にメールを送る。本文は、今どこにいるのかを確認するような簡単な内容だった。
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