リングは彼女に
唐突に着信音が鳴った。どうやら理那からのメールの返事が届いたようだ。
携帯を操作して、受信メールを開く。それはやはり理那からだった。
『和人くん、会社帰りで疲れてるところ悪いんだけど、今すぐ来て。今CD屋にいるんだけど……お金が無くて欲しいCDが買えないんだよね』
CD屋? それよりお金無くて買えないって……しかも俺に払わせるつもりなのか?
まあ、せっかくのクリスマスだし、それぐらい買ってやるかな。
そんな風に軽く考えながら、迎えに行く旨を伝えた簡単な返信メールを打った。
俺は理那を迎えに行くために、スーツから普段着に着替えようと思ったが、いちいち着替えるのは面倒だ。
一度脱ぎ捨てたコートを再び羽織り、朝出社する時に忘れたマフラーを首に巻いてから、すぐに家を出た。