リングは彼女に
冬の公園
先ほど辿ってきた道を逆になぞり、やっと自然公園に着いた。雪は少しだけ降っていたが、すぐやみそうな勢いだった。
額が冷えて痛い。
息を吐く度に冬が深まってきた事を知った。今は十二月、冬はまだまだこれからだ。
公園内で理那を探すためにうろうろと歩いていると、あっちこっちに男と女。腕を組んで、絡ませる様に手を繋ぎ歩いている。
この公園は毎年クリスマスシーズンになると、市のイベントとして、多くの雪像が立ち並ぶ。地元の小学校や中学校から多くの少年たちがやってきて、色々な雪像を作製するのだ。
今俺の前にはいびつな形をしたミロのビーナスの雪像がある。高校時代に美術の教科書でしか見た事はないが、表情からして本物とは似ても似つかない。
視線を下に落とすと、妊婦の様に腹が出ていた。ビーナスはもうちょっとくびれているはずだ。