リングは彼女に
そんな取り留めの無いことを考えながら公園を徘徊するが、理那の姿は未だに見えない。
更に公園を歩く、雪は徐々に弱まり、空に浮かんでいた雲もどこかに行ってしまった。そのせいで寒さも強まった。
視線の先に光り輝くものが見える。それに近づいていくと、冬にしか見られない灯りが燈っていた。
透明のバケツ型の氷の中で煌々と炎が揺らめいている。
周りにはもう誰もいない。
近くにベンチがある、薄く積もった雪を掃って腰を下ろした。
前方の公園の縁には申し訳程度に植林された木々が立ち並んでいる。凍り付いた白樺の木は、葉の代わりに雪の花を咲かせていた。
更に、その木々の後方に重なるようにして、大きなビルが聳え立っている。セントラルタワー。相変わらず巨大だ。