リングは彼女に
wish
セントラルタワーの自動ドアをくぐる。もう十時半を回っており、ショッピングモールの店舗はほとんどが閉店している。
既に二時間半以上も歩き回っていた事に気が付く。すると、急に疲れが襲ってきた。
どうやら開いているのは六階のレストラン街だけらしい。エスカレーターが停止しているので、エレベーターで上がることにした。
エレベーターに乗って、また理那がいないのではないかと不安がよぎる。それに、レストラン街は十一時で全て閉まるはずだ。食事をする時間があるとは到底思えなかった。
電子アナウンスの無機質な声で、六階に着いた事を知らされる。扉が開いたらすぐにエレベーターを出てレストラン『Wish』に向かった。『Wish』は何度か利用したことがあるので、すぐにどこか分かった。
店内に入り、レジで暇を持て余していそうな若い男性店員に声を掛けた。