リングは彼女に

wish



 セントラルタワーの自動ドアをくぐる。もう十時半を回っており、ショッピングモールの店舗はほとんどが閉店している。


 既に二時間半以上も歩き回っていた事に気が付く。すると、急に疲れが襲ってきた。


 どうやら開いているのは六階のレストラン街だけらしい。エスカレーターが停止しているので、エレベーターで上がることにした。


 エレベーターに乗って、また理那がいないのではないかと不安がよぎる。それに、レストラン街は十一時で全て閉まるはずだ。食事をする時間があるとは到底思えなかった。


 電子アナウンスの無機質な声で、六階に着いた事を知らされる。扉が開いたらすぐにエレベーターを出てレストラン『Wish』に向かった。『Wish』は何度か利用したことがあるので、すぐにどこか分かった。



 店内に入り、レジで暇を持て余していそうな若い男性店員に声を掛けた。
< 183 / 228 >

この作品をシェア

pagetop