リングは彼女に
しばらくして、もう頭を上げることすら出来なくなった頃、踊り場で立ち止まった。次の階へ上る階段が無いのだ。
酸素の行き渡っていない状態の脳で、何故階段が無いのか分からなかった。
しかし、辺りを見回して、やっと来るべきところまで来た事を理解する。『T-R』最上階だ。
前屈みになり、手を膝につける。喉の奥から熱い息が幾度と無く漏れ出し、身体中に酸素を行渡らせようとしている。
ゼーゼーという音が口から聞こえる。
そして汗の滴が床に垂れる。
その度に、苦しみが達成感へと変化していくのを実感した。