リングは彼女に
梯子をほぼ昇りきったところで、首を伸ばして屋根の上を覗く。
視線の先には、うずくまる様な姿勢で体を丸めている人物がいた。
ちょうど体育座りのような格好だ。
その体の横には、白い大きな紙袋が置かれている。
見覚えのある上着から、理那である事に気が付く。急いで残りの梯子を昇り切り、屋根へと降り立つ。
「理那!」大きな声で呼びかけたが、理那はこちらを振り向かない。急いで駆け寄り、抱き上げる。
「おそいよ」理那はそれだけ言うとガクッと首を下げた。
「理那! 死んじゃダメだ!」叫びながら理那の体を揺さぶる。すると理那の目がカッと見開かれた。
「馬鹿! 死ぬわけ無いでしょ!」パチンと頬を叩かれ、我に返る。
ああ、大丈夫か。良かった。ひとまず理那が元気である事を確認出来たので、とても安心した。