リングは彼女に


「カイロ沢山あるから、別に寒くはないよ、ただ和人くんが来るのが遅いから、待ちくたびれちゃっただけ、だから大丈夫だよ」


 そう言って手に握り締められたカイロを手渡される。カイロは弱々しい熱を帯びていた。


「理那。本当に心配したんだ。どこに行ってもいないし……途中から、まさか騙されているんじゃないかと思ったよ……」


「何言ってるの……そんな事するわけないでしょ?」理那はそう言ってゆっくりと立ち上がった。


「じゃあ、そろそろ用事を済ませないとね……」紙袋の中に手を入れて、何かを取り出そうとしている。



「何かするのかい?」



 彼女は一瞬俺の顔を覗き込んでから、呆れるように言った。



「今日は何の日だと思ってるの」
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