リングは彼女に
紙束は少しずつ減り続ける。それらは次々と夜空の中へ消え、雪の様に街へと降りていく。
「そう考えているうちにさ、クリスマスなんて、私の中では何の意味もなさないイベントになっちゃったんだよね。毎年この日が近づくにつれて、怖くなるの。今年も一人なのかなって。だから、誰かと一緒にいたくなる……和人くんに話しかけたのも、そのためだった……ただ、この日に、誰かといたかっただけ、それだけだったの」
胸がずきんと痛んだ。理那の言葉に、突き刺されるような気がした。
「これを始めたのは、四年前からだった。毎年違うビルで、無断でやってるんだけど、私にとってなんの意味もないこの日を、なんとか意味のある日にしたかった。誰かと一緒にいなくても、それを忘れられるような日にしたかったの。私は色々なことを考えた。そして、この街の人々の心に介入しようと思ったの……きっと、私が書いた文章で何かを感じてくれる。そして、考えてくれる。誰かがそうしてくれる事によって、私にとって、この日は意味がある日となる……」