リングは彼女に
理那は紙束の中から数枚の紙を取り出した。その紙を差し出す。
「これは私からの言葉という形のクリスマスプレゼント。この街の人達への手紙なの」俺は紙を受け取って、それぞれの内容を見た。
『メリークリスマス! 今日はいい日?』
これを見る人は誰なのだろうか。何を感じるのだろうか?
『あなたは本当に幸せですか?』
俺がこれを受け取れば、きっと否定するだろう。
『愛の意味をもう一度考えて』
これを見る人は愛の意味を考えるのだろうか?
それらの様々な言葉が記された紙を、理那がするのと同じように街へと振りまく。
ある紙は遠くへ、ある紙は近くへ、地上に辿り着いても、雪や水で濡れてしまえばメッセージは届かない。
だが、この行為に意味があるのかもしれない。理那は手紙を贈ることによって、心の中の穴を埋めているのだ。
しかし、そんな事は悲しすぎる。彼女がこれからも一人でいる必要はない。