リングは彼女に


 理那が俺の元を離れ、何故か長谷川の胸倉を掴んだ。


 俺は突然の事に事態が飲み込めなかった。


 当然、長谷川も驚いた様子を見せ、由美も何がなんだか分からない、という顔をしていた。


 その時由美と目が合ったが、彼女はすぐに長谷川と理那の方へと視線を戻した。


「あんた。何やってんの」理那はドスが聞いた声を発して、長谷川を睨み付ける。


 長谷川はビビッているのか、身動きもせず、されるがままだ。


 もっとも、彼は同窓会の時のように、未だに腕を負傷していた。


 抵抗しようにも、抵抗することが出来ないのだろう。
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