リングは彼女に
酔っぱらい
飲み始めてから一時間半は経っただろうか、ウイスキーから始まりバーボン、ジン、ウォッカ、と自分が知っている範囲の酒をしこたま飲み、かなり酔いが回ってきた。それでも、まだまだ飲むのをやめる気にはなれない。
飲めば飲むほど、自分の心にポッカリと空いた穴を、アルコールが埋めてくれるような気がする。
「すみません。もう一杯ウォッカを……」
「お客様、大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫。問題無しだ」多少ろれつが回らなかったが、まだ意識もあるし、もう少しくらいは飲めるだろう。
バーテンダーも俺がかなり酔っていることに気が付いているようだ。だが、仕方が無い、といった様子でウォッカを出してくれた。
「ありがとう」軽くお礼を言った。
そしてまた一気に飲み干し、次は何を飲もうかとメニュー表を眺めていると、隣の女がなにかブツブツと呟いている事に気が付いた。