リングは彼女に
何故、何故なのだろう。やはり理由が分からない。俺は何か彼女にしただろうか?
しかし、どんなに考えても、ひとつも思い当たる節がない。
この間のデートだってうまくいっていたはずだ。変なことを言った覚えもない。
ならば、やはり俺との関係には刺激がなくて、退屈だったという事なのだろうか?
彼女の笑顔も全て作り笑いで、嘘で塗り固められていたものだったのだろうか?
わからない。もう彼女とは終わってしまったんだ。
俺がどれだけ考えたって。答えは見付からない。彼女の本当の気持ちも、俺のこれからの人生も、きっと闇の中だ。
そっと指輪を箱の中に戻して、カバンの中に押し込んだ。