リングは彼女に
バーテンダーは一瞬困った様子を見せた後、しぶしぶグラッド・アイを作ってくれた。手付きは相変わらず鮮やかだ。
「おまたせいたしました」
女の前にグラッド・アイが置かれた。
「ありがとね」
彼女は乾いたお礼を言って、グラスを口に付けた。俺もそれを見ながらグラスを持つ。
彼女はそれを一気に飲み干す。俺は少し飲んで、グラスを置いた。
「うん。ミントの味がする……なかなか美味しい」
彼女はそう呟いてため息をつき、そのままカウンターに突っ伏した。
いよいよ潰れたのか? そう考えたが、全くの間違いだった。すぐに女は体を起こし、俺の顔を覗き込む様に首を少し傾けた。