リングは彼女に


「早く行こ」

「あ、はい」


 理那は魚に例えたらなんだろう。そうだな……夜の街によく馴染んでいるから、保護色の使える魚……いや、凶暴性で考えるとピラニアかもしれない。


「なにか考えてたでしょ? 人の顔じろじろ見て」理那は俺の考えを見透かしたように言った。


「いや……」俺はなんとなく否定した。ピラニアなんて言ったら、彼女は怒るかもしれない。


「ふーん。別にいいけど」

 理那は既に興味を失っているようだった。


「ほら、あそこにソンパの人がいるから、店まで連れてってもらいましょ」
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