リングは彼女に
「ところで、さっきの話に戻るんだけど、なんで彼女に振られたの? プロポーズしようと思っていたのなら、結構うまくいってたんじゃないの?」
「なんでと言われると、よく分からないんですよ。彼女は刺激がないとか言ってました。それに婚約指輪も買ったんですけど、結局渡せずに終わっちゃいました」
そんな事を言いながら、また、さっきのレストランでの一件を思い出してしまった。もう頭の中からあの出来事を消去してしまいたい。
軽いむなしさを感じる。
「婚約指輪ぁ? へえ、かなり本気だったんだねぇ。かわいそうに」
「そりゃ、本気ですよ。ちゃんと、将来のことも考えていたわけですから」
「ふーん。そうだよね。指輪かぁ。その指輪、今あるよね? ちょっと見せてよ」